てつのはーとちゃん 鉄平先生にいろいろ聞いてみた ~第8話 心房細動は治療する時代!?心房細動が怖い理由②~
「では先生、2つ目の怖いポイントってなんですか」
「それは心不全の原因になるということだね」
「心不全!それって心臓の具合が悪くなって息切れがひどくなるという病気のことですか」
「そう。この心不全にならないようにしようとなると、心房細動の治療方法は大きく変わるんだ」
「治療方法が変わるというと?」
「4-5年前までは心房細動は血液サラサラの薬 (抗凝固薬)を飲んでおけば良いと考えられていたんだ。なぜなら、心房細動という不整脈を止めるお薬 (抗不整脈薬)を飲んで、不整脈をコントロールしても薬の副反応などの悪い側面が強くでてしまい、あまり良い効果が見られなかった。だから心房細動を治すよりも、心房細動による脳梗塞を予防することがメインに考えられていたんだ。」
「たしかに、昔は心房細動には脳梗塞の予防をすれば良いという風潮がありましたよね。」
「ただ心房細動をそのままにしていると、心臓の形がどんどん歪んできて、さまざまな病気を引き起こすことが分かってきたんだ。形がゆがむために、心臓内の血液の流れも効率が悪くなり、弁膜症という血液が心臓内で逆流する病気も生じてくる。」
「形が歪む!?」
「そのため心房細動を止めることが出来るなら、やっぱり止めた方が良い。でも抗不整脈薬では副反応が大きい。つまり、安全にそして効果的に心房細動を止める治療があればベストだよね。」
「その方法が出てきたということですか?」
「そう!カテーテルアブレーション治療という方法がここ最近ぐっと進化してきている。不整脈の原因となる心臓の一部を(肺静脈)焼いて、不整脈を出なくする治療なのだけど、皮膚の上からカテーテルという管を血管内に入れて治療するから、体への負担も少ないし、大体2-3泊ぐらいの入院で行える。治療成功率も高い上に、合併症などの問題がここ数年ぐっと改善してきている。」
「アブレーション治療で心房細動の管理も変わってきたんですか?」
「アブレーション治療をすることによって、心不全の予防ができるということもわかってきたんだ。そのため今は心房細動を見つけたらアブレーション治療でしっかり治療するという選択肢があがるよね」
「でも治療のために入院って嫌ですよね。お薬でなんとかやり過ごせるならやり過ごしたいって考えもありますよね」
「たしかにそういった気持ちもあるよね。一方で、アブレーション治療が効果的なタイミングというのもあるんだ」
「タイミング?」
「さっきも伝えたように、心房細動が残っていると心臓の形が歪んでくる。主に心房という部分の筋肉が変性して、大きくなってくるんだけど、この変化が強いほど心房細動は起きやすくなるんだ。すると心房細動の時間が増えるから、さらに心房は変性しやすくなり、悪循環に陥ってしまう。さらに心房の変性が進むと、アブレーションでも治療しづらくなる。」
「つまりどういうことですか?」
「心房細動の治療タイミングが遅れると、アブレーションでも治療できなくなり、心不全への進行を止められなくなってしまうということだね。だから適切なタイミングで治療に進むことが大事なんだ」
「なるほど。動悸や不整脈についてよく分かりました。」