てつのはーとちゃん 鉄平先生にいろいろ聞いてみた ~第7話 検脈は大事?心房細動が怖い理由①~
「そういえば最近『検脈』って言葉をよく聞きますね」
「自分の脈が規則正しく動いているかセルフチェックすることだね。」
「それって大事なんですか?脈が多少バラバラでも気にしなければいいんじゃないんですか?」
「どうしてそう思うの?」
「脈がバラバラで息切れとかの苦しさがあれば心配ですけど、苦しくなければ様子見ていればいいんじゃないんですか」
「脈がバラバラの時に一番心配しなければいけない不整脈があるんだ。心房細動って病気を、知っているかな?」
「あ!?ミスタージャイアンツの長嶋さんが持っていた病気ですね。」
「そう!僕たち循環器内科がホルター心電図などを使って不整脈をなぜここまでしっかり調べるかというと、この心房細動を見つけるためなんだ。」
「なんでですか?」
「この心房細動は、動悸という症状がある場合もあれば、動悸症状が軽くて気づかない場合もある。だから症状の強さとは別に、しっかり調べに行かないと見落としてしまうからなんだ。」
「動悸症状に気づかない不整脈もあるんですね。でも症状が無ければ別に良いじゃないですか。」
「心房細動には2つの怖いポイントがあるんだ。だから症状がないから様子を見ていていいわけじゃないよ」
「2つも!?なんですか?」
「1つは脳梗塞の原因になる。心房細動という病気は、心臓の心房という部分が痙攣してうまく動けなくなってしまう病気なんだ。そうすると心房の中の血液の流れが悪くなって、血の塊 (血栓)が出来てしまう。この血栓が心臓から流れ出てしまい、脳の血管を詰めてしまうと脳梗塞になるんだ。さらに心房細動が原因の脳梗塞は大きな脳梗塞になるので、後遺症が残ってしまうケースが多く、寝たきりになってしまったり、最悪の場合命を落としてしまうことがあるよ」
「え!不整脈が原因で寝たきりになったりするんですか」
「長嶋さんも長い間リハビリ生活を続けていたよね。余談だけど、長嶋さんがリハビリしている姿をテレビなどのメディアに流すようにしていたのは、心房細動という病気の存在を世間に知ってもらうためや、脳梗塞になってリハビリをしている同じ境遇の方たちにエールを送るためでもあったようだよ。」
「脳梗塞になっちゃうなんて怖いですね」
「だから検脈によって脈の不整を感じたら、しっかり検査をして、心房細動を見つけにいこう。そして心房細動があった場合には、抗凝固薬という血液をサラサラにする薬を飲んで血栓を予防をするんだ。ただし全員が一律に飲むわけではないよ。心房細動の発生時間や年齢、性別、持っている病気によってお薬を始めるかどうかを判断するんだ。始めるにしてもどういった種類の薬にするか、薬の量をどうするかも判断していくよ。」
「いろいろ考えているんですね。」