てつのはーとちゃん 鉄平先生にいろいろ聞いてみた ~第3話 狭心症は検査では分からない!?~
「先生、胸痛があったとき、心臓が原因かどうかってどう調べるんですか?」
「心臓が原因の胸の痛みって、どんな病気が想像できる?」
「う~ん、やっぱり狭心症とか心筋梗塞が心配ですね」
「そうだね、まず第一に狭心症や心筋梗塞を考えたいね。それ以外にも不整脈や心膜炎といった病気でも胸が痛む場合があるけれど、今回は狭心症や心筋梗塞で考えよう」
「お願いします」
「まず心筋梗塞は、心臓の筋肉に血液を送っている冠動脈という血管が詰まってしまって、心臓の筋肉が壊死していってしまう病気だったね。そのため検査では壊死してしまった筋肉があるのかどうかを見つけに行くんだ」
「どうやって見つけるんですか?」
「一つは心電図。心臓の筋肉は常に電気エネルギーを生み出していて、そのエネルギーを記録すると特徴的な電気波形を示すんだ。心筋梗塞を起こした心臓の筋肉は、正常な電気エネルギーが出せていないから、その変化を心電図で見つけて診断をするよ」
「心電図は良く聞く検査方法ですね」
「もう一つは採血だね。心臓の筋肉が持っているタンパクでトロポニンTというのがあるのだけれど、心臓の筋肉が障害を受けると、心臓の筋肉細胞からこのタンパクが血液に漏れ出てくるんだ。採血でトロポニンTが通常よりも高い値で出ていたら、心臓の筋肉が障害されているため、心筋梗塞が考えられるよ」
「なるほど。この2つの検査をすれば安心ですね。」
「じつはこの2つの検査が大丈夫だからと言って、心臓は大丈夫とは言えないんだ」
「どういうことですか?」
「この2つの検査は心臓の筋肉がある程度障害されていないと分からないんだ。狭心症や初期の心筋梗塞ではこの2つの検査はすべて正常ということは良くあることなんだ」
「え!?じゃあ大丈夫かどうか分からないじゃないですか!」
「だから問診がとても大事なんだ。胸の痛みが出るタイミングや痛みの性状、持っている動脈硬化のリスク、年齢などから総合して診断するんだ。ここに医者の力量差が出てくるね」
「心電図が大丈夫だったから安心というわけじゃないんですね。」